FC2ブログ

漆器考 4

数年前より本腰で外国人観光客数を上げる為に、日本の文化に対する広報を官民一生懸命

やっているので、諸外国でも知識が広まってきています。


その文化紹介の項目のひとつとして、工芸品も取り上げられています。

漆芸も美しく、伝統的に紹介されています.....が、



とある、漆に関するコンベンションの展示会場にアメリカ人と思しき日本語を話す青年に、日本人の

主催者側の人が、現状の”漆”と”漆器”のを話している場面に遭遇しました。


その二人の前で展示品を見ていたら、話を聞き終わったアメリカ青年が発した言葉が、

”他のはニセモノ漆器じゃあないですかぁ!”


私は吹き出すのを堪えるのが必至でした。その後も彼は、主語としてこの言葉を連発し続けた。(笑)


日本人のアテンダントは、そこまでではないと言いたげな説明しきりでしたが、

アメリカ青年にすれば、謳っている事が、素直に違うと感じた素直な言葉なのだろうと思う。



漆自体はとても優れた天然塗料であり、接着材でもあるので、たくさんの可能性を持っているから

そうそう一概にはいろんな製品がどうのとは言えないのだけれど、

”漆器”と言う表現をする時には

売り手側と買い手側の疎通がやはりとりずらいようです。

そして、やはり”漆器”と言う言葉の持つ意味が、ひとそれぞれなんですね。



そう言えば、”ほんものの漆器”と言う言葉を使った本とか説明文とか、結構あります。

そう言う言葉を使うしかないのかな?



かつての勤めていた会社に、はっきり思った事を言う50代後半の男性の方がいらっしゃいました。

私が漆器に凝っていたのを知って”自分も漆器産地に遊びに行った時に、ぐい呑みの漆器を

買ったのだけれど、どうも臭くて使えない”と話してくださいました。

(カシュー下地か中塗の漆塗り製品だったのだと思います。)

そして、”漆器なんて、今の生活様式に合わないのだから、無くなる器だよ”とも言ってました。



  扱いが難しい 面倒

  壊れやすい 剥げやすい

  良さがわからない



最初の扱い方については、電子レンジ不可とか金属フォーク類が使えないとかあるかもしれないですが、

質の良い焼き物(陶器)は電子レンジには入れませんよね。

でも、電子レンジ、食洗機OKの”漆器”もありますが・・・


真ん中のは、どうかな?と思う。 陶磁器類でも同じなんじゃないかな?


最後のは私のような”失敗もの”を経験したら、こう思うに至るのは無理のない事なのかも。



伝統ある漆器産業の存続と価格競争と、使い手の生活様式に合わせて市場を確保しようと言う動き


によって、”いろんな漆器”が出来あがったけれど、私個人の意見とすれば、逆効果になってしまった


ように思えてなりません。



存続とは、つくり手さん、問屋さんやお店、会社、組合が関係しています。

雇用の維持にも関わりますから、とても大変な事です。



でも、伝統と言う言葉の持つ意味と、使い手の事はどうなるんでしょう。



基となる漆塗りの伝統技法が派生して漆に手を入れていたり、漆のような塗料だったりして、

”漆”自体も多種多様な塗料になっています。

さらに、それらの漆の施し方も様々。



時代に揉まれて伝統もおおきな年月の流れの中で変るものです。

だとしたら、今はきっと”漆器”なるものの過度期??



漆器は美術品ではなく生活用品。その伝統を存続するには、使う人の分担もある。


ちょっと良い漆器を使いたい思った時に選ぶ側が一苦労以上しなくてはいけない。


塗りの内側は見えない上に、塗り状態の事についてもわからない。


現状の”漆器”と言う言葉自体がたくさんの意味を持ち、”いろんな漆器”に溢れてしまっている中では、


昔の感覚での”漆器選び”はおちおちとできないなんて、これでいいのかな?


本来の”漆”を使用して、お椀やお皿を”伝統的な技法”で”手塗り”でつくったものは、


美術工芸品になっちゃう時が来るぅ? かもです。


(次回につづく)
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

漆 美術 ときどき猫

Author:漆 美術 ときどき猫
ネットショップ terradiart 店長 田代のブログです!

日本の美しい手仕事
terradiart

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR