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漆器の選び方 家庭用品品質表示法

漆器を選ぶ場合、何よりの判断は自分の好みかどうか、

ご自分が好きかどうかが、一番左右する事だと思います。


これは何にでも当てはまる事だと思います。絵画、自動車、インテリア、アクセサリー、洋服・・・

そしてこれには価格も材料も作り方も左右されない個人の感性で選ばれるものなので、”これっ!”と

なったら、それ以外はなくなります。

でも、後悔や同じ失敗を繰り返さない為には、知る事も大切です。



皆さんが一番漆器を目にする場所での漆器選びについて、お伝えしようと思います。

デパートなどでの『家庭用品品質表示法』についてです。


”漆器”が、量販店等で販売されている場合、『家庭用品品質表示法』がついています。

これは”購入に際し品質を識別することが著しく困難であり、かつ、その品質を識別することが特に必要であると

認められるものであって政令で定めるもの”に則し、漆器にもあてはまります。


家庭用品品質表示法では、次の3点が製品の事を説明しています。

参考として、それぞれ書きこんでみました。
品名:漆器
表面塗装の種類:漆塗装
素地の種類:天然木加工品

この製品に対してどんな印象を持ちますか?


『表面塗装の種類』と言う事は、下地や中塗が漆ではない場合も意味しています。

また『素地の種類』の例として、天然木加工品としましたが、これは木乾の事で、木粉を樹脂や薬品などにより固

めたものです。

さて肝心の『品名』ですが、”漆器”と表示できるものは漆液に以下に記した材の使用が許可されています。


着色剤(鉄、顔料等)、乾性油(亜麻仁油、荏油等)、天然の補助剤(ロジン、コーパル等の天然樹脂)、揮発性有機

溶剤、硬化剤(漆の10%以内の使用量)



これらの何が使われているか、どのように作られたか等の詳細については、

お店の人に聞いても判る事の方が少ないようです。


内容は次のようになります。

顔料とは、漆の色を左右する顔料で、鉄、弁柄、銀朱、チタン、ローダミン等です。

乾性油は、植物油で漆塗りの艶を上げる目的と粘度調整に使用します。

補助剤は、粘性を持たせたり、漆硬化を早め、硬化力を高める為に使用されるものです。

揮発性有機溶剤の代表的なものはテレピン油、ショウノウ、灯油等で、漆液の粘度を調整する為のものです。

硬化剤は、漆硬化を早め、硬化力を高める為に使用されるものです。



この中には、漆塗りの器をつくる為には必要不可欠なものもあり、

また使用しなくても良いものもたくさんあります。

何よりも、手塗りなのかどうかをこの表記では確認できません。



5,000円前後の漆器を2度、3年以内に購入するはめ(器がだめになって)になるとすると、

2回分の価格前後で、1点の作家による”堅牢”で美しい塗りの優品を購入する事ができると言う事を念頭に

おいてください。

デパートでも、このような作り手がわかる漆器を置き始めています。

その際は、修理や塗り直しができるかも必ず確認してくださいね。



家庭用品品質表示法とは言え、悩ましい記載が多いので、面倒でもお店の方に必ず聞く事が大切です。

そして次回の購入に役立ててください。


知ると言う事は、より良いお買物につながる事に加え、

知ると言う事を通して、優品を購入し、使用する事によって感性を高める事につながるからです。
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漆器考 5

妹からもらった素敵なお椀を手にしてからは、日本の伝統工芸品と言うものについて調べまくりました。

特に漆芸の分野は観て、聞いて、使って、読んで(書物)です。

とは言ってもまだまだですが、現状はちょっと理解できたつもりでいます。


その中で、年々漆器つくりに携わる方たちが減少しているにも関わらず、40歳前後のお若い

(この世界では若いんです)つくり手さん達に出会いました。

とても質が良く美しい漆器をまさにコツコツ真面目につくっていらっしゃる方たちです。



これは感じた事なのですが、工芸品の分野でも、ふた昔前のあの景気の良さが続いていたら、その時の風潮

にのって間違いなくその種類の雑誌や書籍に取り上げられていたであろうと思う方たちです。

中には、そう言う時代に取り上げられていたものよりも一層”質良く”、”美しい”のではと思われるものを

つくっていらっしゃる方もいます。

とても嬉しく思いましたが、片や漆器選びに難儀する人がいるのに、こう言う方たちが

つくられる”漆器”については一般的には全然と言って良い程知られていません。残念なことです。

こういう方たちは、大抵の場合、塗り産地名のある職人としてではなく、作家名でものづくりをしています。

作家と聞くと、高価に思われるかもしれませんが、そうでもないのです。

だって、

2度程漆器選びに失敗した値段位で、私の場合の失敗額は9,000円位、10年は軽く使える優品が

購入できるんです!

  不備が生じたら、相談に乗ってくれたり、

  欠けたり、剥がれたりしたら修理もできるんです。
 
  何より作り(見えない部分)が良くて、塗りが美しい

  それに器を育てる楽しみがあるんです

  + その作り手さんの将来を楽しみにしながら使えます

  他にも、日本の材なので、日本の困った”森林管理”に一役立てて、

  漆を薄める揮発剤的なものはムヤミに使用していないので、

  環境にもよろしく

  塗り色に飽きたら、塗り変えもできる

  何と言ってもこう言う”漆器”を使うと、大切にしたくなる気持ちが芽生えたり

  ”わかる”と言うちょっとした優越感がもたらされます


こんな漆器を購入できていたのに、残念でした。



こう言う”漆器”を購入するには展示会などへ出向き、作家さんと話をして購入する事ができます。

好みの作家さんに出会えれば良いですが、作家さんに頼ることなく、はじめて漆器に興味を持った方でも、

隔たりなく買いたい場合は、少し知識が必要となります。

それを私なりに伝える事ができて、少しでもお役に立てたらと思って活動しています。


  私の”伝えたい事”とは、

  ”漆器”なるものについてを伝えたい

  優品をつくる方たちの漆器を、使い手の方の立場に立って

  もっと伝わるようにしたい

  そして漆器を使う事を後世に伝えていただきたい

  なによりも、こうした”漆器”をわかり使う事は”心地良さ”が違います

  そんなこころの満足感が得られるよう、少しでもお役に立てたらと思っています

漆器考 4

数年前より本腰で外国人観光客数を上げる為に、日本の文化に対する広報を官民一生懸命

やっているので、諸外国でも知識が広まってきています。


その文化紹介の項目のひとつとして、工芸品も取り上げられています。

漆芸も美しく、伝統的に紹介されています.....が、



とある、漆に関するコンベンションの展示会場にアメリカ人と思しき日本語を話す青年に、日本人の

主催者側の人が、現状の”漆”と”漆器”のを話している場面に遭遇しました。


その二人の前で展示品を見ていたら、話を聞き終わったアメリカ青年が発した言葉が、

”他のはニセモノ漆器じゃあないですかぁ!”


私は吹き出すのを堪えるのが必至でした。その後も彼は、主語としてこの言葉を連発し続けた。(笑)


日本人のアテンダントは、そこまでではないと言いたげな説明しきりでしたが、

アメリカ青年にすれば、謳っている事が、素直に違うと感じた素直な言葉なのだろうと思う。



漆自体はとても優れた天然塗料であり、接着材でもあるので、たくさんの可能性を持っているから

そうそう一概にはいろんな製品がどうのとは言えないのだけれど、

”漆器”と言う表現をする時には

売り手側と買い手側の疎通がやはりとりずらいようです。

そして、やはり”漆器”と言う言葉の持つ意味が、ひとそれぞれなんですね。



そう言えば、”ほんものの漆器”と言う言葉を使った本とか説明文とか、結構あります。

そう言う言葉を使うしかないのかな?



かつての勤めていた会社に、はっきり思った事を言う50代後半の男性の方がいらっしゃいました。

私が漆器に凝っていたのを知って”自分も漆器産地に遊びに行った時に、ぐい呑みの漆器を

買ったのだけれど、どうも臭くて使えない”と話してくださいました。

(カシュー下地か中塗の漆塗り製品だったのだと思います。)

そして、”漆器なんて、今の生活様式に合わないのだから、無くなる器だよ”とも言ってました。



  扱いが難しい 面倒

  壊れやすい 剥げやすい

  良さがわからない



最初の扱い方については、電子レンジ不可とか金属フォーク類が使えないとかあるかもしれないですが、

質の良い焼き物(陶器)は電子レンジには入れませんよね。

でも、電子レンジ、食洗機OKの”漆器”もありますが・・・


真ん中のは、どうかな?と思う。 陶磁器類でも同じなんじゃないかな?


最後のは私のような”失敗もの”を経験したら、こう思うに至るのは無理のない事なのかも。



伝統ある漆器産業の存続と価格競争と、使い手の生活様式に合わせて市場を確保しようと言う動き


によって、”いろんな漆器”が出来あがったけれど、私個人の意見とすれば、逆効果になってしまった


ように思えてなりません。



存続とは、つくり手さん、問屋さんやお店、会社、組合が関係しています。

雇用の維持にも関わりますから、とても大変な事です。



でも、伝統と言う言葉の持つ意味と、使い手の事はどうなるんでしょう。



基となる漆塗りの伝統技法が派生して漆に手を入れていたり、漆のような塗料だったりして、

”漆”自体も多種多様な塗料になっています。

さらに、それらの漆の施し方も様々。



時代に揉まれて伝統もおおきな年月の流れの中で変るものです。

だとしたら、今はきっと”漆器”なるものの過度期??



漆器は美術品ではなく生活用品。その伝統を存続するには、使う人の分担もある。


ちょっと良い漆器を使いたい思った時に選ぶ側が一苦労以上しなくてはいけない。


塗りの内側は見えない上に、塗り状態の事についてもわからない。


現状の”漆器”と言う言葉自体がたくさんの意味を持ち、”いろんな漆器”に溢れてしまっている中では、


昔の感覚での”漆器選び”はおちおちとできないなんて、これでいいのかな?


本来の”漆”を使用して、お椀やお皿を”伝統的な技法”で”手塗り”でつくったものは、


美術工芸品になっちゃう時が来るぅ? かもです。


(次回につづく)

漆器考 3

(前回よりつづく)

すっかり汁椀を購入する事を忘れていた時に妹が汁椀をプレゼントしてくれました。


全体が朱色で塗られているお椀なのですが、今までに見たことの無い、独特の塗り表面をしていました。

艶はあるのですが、その表面がおぼろ月夜のような、新鮮な巨峰葡萄の皮が放つような何とも言えない

透明な銀色の光を発しているんです。


日の光の中でみると、光が塗りの中に一度入ってから、内側から反射して戻ってくるような目に優しい

やわらかい光なんです。



こんな塗り表面初めて見ました。



あまりにも美しかったので、しばらくは使わないで眺めていました。

聞いた所によると、たぶん自分で漆を精製しているものを使っていて朱色顔料以外は使って

いないんじゃないかとの事。価格は妹もいただきものだったので不明でした。

こんな漆器もあるんだと目から鱗でした。


この器に出会って、こんなに素敵な器をつくる人がいるんだと知って安堵感を持った事と

なぜだか嬉しかった事を覚えています。


先の購入失敗品のも”漆器”

同僚が使っているのも”漆器”

そして妹からもらったのも”漆器”

悩ましすぎますね ”漆器”って言葉


そう言えば、カシュー塗り製品の上に漆を塗っても”漆器”。

カシュー塗りなのに”○○塗り”(○○には漆器産地名称が入ります)と、呼んでいたりもします。

そして純粋な漆だけじゃなくて、漆に化学塗料が混じっていても”漆器”と言います。

木製品にウレタン塗りとか、樹脂に化学塗料を塗った上から漆を塗ったら”合成漆器”

さらに成分的にも色んな種類の漆が開発されていたりします。



あまりにも”漆器”と言う言葉の範囲が広くてごちゃまぜで、人それぞれでも、捉え方が違うようです。

ごく一般の消費者には何が何だかわからなくなっているのは確だと思います。

実際私がそうでしたから。



若い人たちにとって”漆器”ってどう思っているのかな?



漆塗りのお椀や皿などを何気なく使っていた子供の頃の記憶...

私のように”漆器”と言う言葉が持つ”心地良い、いい気持ち”は、ただのメランコリックな

ものになってしまったでしょうかね



そう言う記憶がある人は、一層この”漆器”と言う言葉が悩ましく思えるのかもしれませんね。

例えれば”漆器”は”和服”の域ではなく、もっと広い範囲の”衣服”とかと同じレベルの言葉に

なってしまったと、捉えた方が楽なのかも。


(次回につづく)
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漆 美術 ときどき猫

Author:漆 美術 ときどき猫
ネットショップ terradiart 店長 田代のブログです!

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